岐阜県産業技術総合センター

研究開発

岐阜県産業技術総合センターでは、地域に根ざした研究開発を推進しています。

先進的研究開発
新素材開発、新規機能性付与など、企業が行うにはリスクの大きい先端的な技術に関する研究開発を行います。
地域密着型研究開発
新商品開発、製造プロセスの改善など、現在の製造現場で実用化可能な技術・製品に関する研究開発を行います。
共同研究
当センターと企業が、それぞれの人材、設備、資金等を有効に活用し、技術や知識を交換しながら製品・技術開発を行います。
受託研究
企業が抱える技術的な課題や企業で実施不可能な研究課題に対し、委託を受けて研究を実施します。
研究会活動
研究会を組織し、企業と意見交換をしながら研究開発を進めています。

令和5年度研究課題

新価値創造によるサスティナブル社会推進プロジェクト

現場生産性向上を図る高機能プラスチック製品の開発
高機能プラスチック材料による工場内資材等の開発を目的とし、帯電防止プラスチック、難燃性プラスチック複合材料、軽量化・複合化によるマルチマテリアル製品、リサイクルプラスチックの物性向上技術の開発を行う。

地場産業の技術承継・新商品開発プロジェクト

刃物製品のブランド力向上のための切れ味評価技術の開発
岐阜県式切れ味試験とISO規格の切れ味試験機による切れ味試験を実施し、それぞの特徴を把握する。また、刃物の評価に適した非接触形状評価技術を開発し、切れ味試験により刃先に生じるダメージと切れ味劣化の関係を把握する。これらの知見をもとに岐阜県式切れ味試験の標準化に取り組み、ISO試験を補強する新たな試験方法として普及を図ることで、当県刃物製品の競争力強化と関ブランド商品の開発を支援する。

県内製造業のDX支援技術開発プロジェクト

スマートファクトリーを実現するためのデータ活用に関する研究開発
「データ活用」による工場保全、加工機等の生産設備の保守管理、加工技術の課題解決に関する技術を開発し、県内製造業の業務変革(DX)による競争力強化や新規分野の進出に貢献する。
協働ロボットを活用した作業高度化に関する研究開発
協働ロボットとAI技術を活用し、人・ロボット・周辺システムがより柔軟かつ高度に連携するための技術開発を実施する。さらに、ロボット操作(ティーチング等)を容易に実現するためのロボット操作システムの開発を実施する。
ロボットを用いた製造業における人作業の負荷低減手法の開発
刃物の研磨・刃付け作業を対象にして、ロボットによる作業の自動化により、生産現場における手作業の負荷低減(省人化・省力化)および品質向上を狙う。また手作業を数値化しロボットによる動作再現による熟練者の技能伝承を図る。
IoTを活用した清酒の高品質化研究
IoTを活用した清酒貯蔵庫の温度測定システムを構築し、そのシステムにより求めた清酒の積算温度と官能評価から求めた熟成度の関係より、瓶貯蔵を行う清酒に対する飲み頃を指標化する品質管理技術を確立する。

革新的モノづくり技術開発プロジェクト

クレーム対応のための分析試験の高度化
モノづく拠点が有する分析関連設備(X線光電子分光装置、オージェ電子分光装置、電子線マイクロアナライザ、電界放出型走査電子顕微鏡、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置、原子吸光光度計など)を活用することで、腐食生成物の分析データからその原因を導出するための研究を実施する。
EMC試験設備を活用した電子機器の高品質化
EMC試験設備を整備し、これまで他県や民間の施設を利用していた県内中小企業のニーズに対応するとともに、製品のノイズ対策や電磁波の漏れ対策等の電磁波対策技術を開発する。
セルロースナノファイバーを用いたマルチマテリアル化
これまでの複合技術を製品に即して、材料の選定から物性評価および、本技術を応用した樹脂との複合化方法の開発、さらにセラミックス/樹脂/CNFから成る全く新しい素材開発と新規物性を目指す。
革新的生産技術による生産性の向上
砂型3Dプリンタなど金属素形材の生産性向上に向けた一連の機器を活用し、製品開発におけるデジタル化の遅れている鋳物企業等の生産性向上を図る。
AI技術を活用した検査工程の省力化・効率化
製造業の多くの工程で行われている検品・検査作業について、県内企業と連携してAIによる画像検査技術の開発に取り組み、検査工程の省力化・効率化を支援する。

美濃和紙原料供給安定化事業

美濃楮の安定生産と品質評価に関する研究
美濃楮及び美濃手すき和紙の評価技術と品質推移の検証及び美濃手すき和紙の使用感について調査を実施し、美濃手すき和紙の生産基盤の確保と品質向上に貢献する。

重点研究開発推進

品質見える化のための画像センシング技術に関する研究開発
作業品質の見える化や検査品質の高度化を図るために、AI技術を適用した画像センシング技術を開発し、作業者の作業状況を把握する動作分析技術や中小企業の検査工程で利用しやすい画像検査技術を開発する。
難削材の高能率切削加工に関する研究
難削材(チタン合金)の切削特性を把握し、工具形状ならびにコーティング膜、冷却手法等を検討し、切削速度向上、工具寿命延長を実現した高能率加工技術を確立する。
EV向け軽量化部材の開発
生産効率が高い射出成形を応用して、短繊維複合材料を用いたEV向け軽量化部材の効率的な製造技術を確立する。また、併せて、開発した部材の物性評価を行い、評価技術の確立とデータの蓄積を行う。
次世代自動車・環境対応繊維資材の開発
SDGsの観点から、繊維製品の加工・製造工程で発生する端材を原料としてリサイクルによる資材開発に取り組む。資材としては、建材用や自動車用でニーズの高い吸音材をターゲットとする。

地域密着型研究

鋳鉄の歪み取り熱処理に関する研究
鋳鉄の鋳造時の歪みを取るための処理である自然枯らしと人工枯らし(熱処理)の違いを調査し、歪取りと被削性の向上を両立する熱処理法の開発や歪取りが必要な基準の評価を行う。
石灰水洗ケーキの環境材料への応用
石灰水洗ケーキの重金属吸着機能を活用し、土壌改良材等粉末製品や、セメントに添加してコンクリート塩害(鉄筋錆による劣化)の抑制技術や重金属吸着製品(ブロック、モルタル等)を開発する。
水栓製品の品質向上に関する研究
県内水栓製品における高品質な製品の高効率製造の検討を行う。また製品表面欠陥補修に対する処理技術とその欠陥補修効果及び品質向上効果を検討する。
レーザー加飾品質の高度化に関する研究
レーザー加飾条件と構造色との理論的関係を明らかにし、ユーザーから要求される色の加飾条件を効率的かつ精度よく決定する色品質管理手法を開発する。
プレス成形技術・接合技術を活用したCFRP製品の開発
これまでに蓄積してきたCFRPのプレス成形技術や接合技術を活用しつつ、実用化に向けての課題である「成形後の変形抑制、板厚制御、面粗度の改善」を実現する成形技術を確立する。
製造・修理工程の効率化を目的とした不具合情報分析と製造・修理計画の支援技術に関する研究
生産効率向上の一助として、製造工程に内在する不具合情報を分析するとともに、不具合対策やノウハウが蓄積されたデータベースの構築と製造・修理計画作成を支援するシステムを開発する。
屋内移動支援機器向け安全装置の研究開発
超高齢化社会の到来に伴い、屋内公共施設における高齢者のための移動支援機器のニーズが高まっている。このため、障害物等との接触を回避する安全装置を開発する。
金属材料の塑性加工における残留応力に関する調査研究
塑性加工の加工条件と残留応力の関係を調べるとともに、加工誘起マルテンサイトが発生する条件を調査し、技術支援にフィードバックする。
転造ダイスの摩耗・チッピング異常を検出する工程監視システムの開発
自動サイドブレーキ用のねじを製造する転造機に用いられている転造ダイスの摩耗・チッピング異常を検出する工程異常監視システムを開発する。
有機被膜によるめっき微細欠陥の被覆に関する研究
めっき表面には凹上欠陥があり、二次的な不良・欠陥の原因となる。強固で緻密な有機被膜で被覆して、めっき製品の品質向上を目指す。
機能性を有する繊維の開発
岐阜県産ひのき精油を使用して、機能性を有する繊維を開発する。ひのきには芳香性、抗菌性などを有するため、これらの機能を有する繊維の開発を目標とする。
ウールブレンド紙糸製品の開発
尾州産地の特産であるウール繊維を美濃和紙に配合抄紙することで、ウールの特性を有する新規な紙糸を開発する。この紙糸繊維製品の商品化を目指す。
二液型接着剤の少量塗布時における混合比を安定化するデバイスの開発
二液型接着剤用のスタティックミキサーを開発する。また、接着力を評価するために新しい方式の接着強度測定システムを開発する。
3Dプリンタ造形物の付加価値を高める空間充填構造体の研究
3Dプリンタ造形物の充填構造を制御することで、造形物に対して柔軟性、伸縮性などの付加価値を生み出す。

過去の研究課題